「医療的ケアが必要な子どもをもつ家族の生活全般に関するヒアリング調査研究報告書」とそらしどに参加されているご家族からの声を集めてカテゴリー分けをしたものです。

※これらのことは個人差もありますし、言われるタイミングや誰に言われるかによっても違ってきます。同じ言葉でも全く逆の感情がわいてきたりもするので、一概にいえることではないとは思いますが、参考にしていただけると幸いです。

支援者・施設の対応 

  • 手術前に看護師さんから「頭の子か」という表現をされた。今から初めての手術で心配しているのに。
  • 保健所の 4 ヶ月健診で、「なぜこちらに来たのか」と言われた。
  • 1 年後が遠い先だったので。「学校に行くために慣らしていきましょう」「生活リズムをつけていきましょう」という言葉が腑に落ちなかった。「この子が生活したいリズムで生活したらいいやん、できる時に療育に行くやん、楽しく帰って来れたらいいやん、寝たい時に寝て、好きな時に起きていいやん」って思っていた。先の話は言ってほしくないと思っていた。
  • 母子分離の時間はいらないと思う。看護婦さんに任せるのが嫌というわけではなくて、(子どもの一瞬一瞬を)見逃したくない。
  • 生後 4 か月、MRI 画像を見て、医師から「将来食べることや喋ることが難しくなる」と言われたこと。希望を失う言葉、決めつけられる言い方が悔しかった。
  • 出生後の検査で、(同じような子で)「中には 10 年くらい生きた子もいる」と言われて辛かった。
  • 写真も厳しくて、撮らせてもらえない。先生方も写りたがらない。「記録に残したいだけなんです」と言ってもダメですと言われる。OK してもらっている園もあるから、がんばって言うけど、未だにダメ。「一日一日が奇跡なんです」と言ってもわかってもらえない。
  • 知識がない先生も多い。
  • 本人がカニューレをよく抜くので学校から呼び出しがかかり、親が学校に行って入れないといけない。 外科の医師は「(そんなにカニューレを抜くなら)取ったらええやん」と言うが、不安だった。
  • 訪問看護の担当者が休みで代わりの人も来ない状況。
  • 命に関わらない対処はしてくれない。歯科耳鼻科は言わないと紹介してくれなかった。命優先なのが悲しいのはある。言えば聴いてくれたけど「命優先だからそこは考えんでいいんちゃうか」と言われた。今がよりよいものになるようにしてあげたい。
  • 「Aちゃんにはムリです」療育センターである療育プログラムを試験的に始めることを知って、娘には難しいと思いつつ、どういう内容なのかを聞きにいった時にいわれたひとこと。難しいのは確かだったかもしれないけど、できればとりあえず内容については教えてほしかった。また受け入れられないことについても「今の状態では今回はAちゃんに負担がかかりすぎると思うので、今回はこっちのプログラムどうですか?」のように言って欲しかった。この時だけでなく「ムリ」とは簡単に言わないでほしいと思っています。もちろん闇雲に「大丈夫」と言われるのも余計に負担だったり、支援者に対して信頼感を失いかねないことだと思います。でも、簡単にこども本人の可能性を否定したり、能力不足を本人や親のせいであるようには言わないでほしい。特にまだ信頼関係が築けていない間柄では。信頼関係が出来上がってからだと、親子ともどもの強みと弱みを知ってくれているからこそかのアドバイスだと理解できるけれど、そうでない場合本当に落ち込むので。時には親の方が「ムリだ」と思ってるからこそ特にダメ押しされた気分になる。
  • 「自閉症でも、知的障害があっても、すごい能力を持っている人がいるから、自閉症や知的障害のある人の存在価値を認めましょう」というような発言や表現に、引っかかることがある。「さまざまな障害等と[ともに]活躍されている方」は本当に素晴らしいと思います。心から凄いと思っているし、そういう人がもっともっと認められる、チカラが発揮できる社会になればと本当に思っています。でも傍目に分かる活躍をしているから、生産性があることをしているから存在価値があるのではなく、その人その子がいることだけで価値があると思っています。たとえそれが家族にとってだけであっても。

家族や友達や周囲の人

  • 誕生して状況を伝えると「うちの家系じゃない」「かわいそうに」と曾祖母に言われたこと。
  • 「仕方ないよね。」「私には無理だわ」「○○ちゃん(母のこと)だからできるんだよ。」それしか言えなかったと思うが、つらかった。
  • 外出先に吸引機を持参したら、「吸引機って持ち歩くものなんですか?」とあるお母さんに言われた。
  • 街に出た時の目線。子どもがうちの子をジーっと見た時に保護者が「やめなさい!」って離れる。
  • 宗教の人に声をかけられる。外に出るのが怖かった。
  • この子にとって一番最善の方法を考えた結果だったのに「なんで呼吸器をつけてまで助けたん?」と言われてショックだった。
  • 近所の人に「かわいそうにね」と言われたこと。
  • 不躾な視線。
  • 病気がわかった時にはっきりとは言わないけれど、母は私を心配して出産を反対した。
  • 「あんたのところはマシやん。うちの子なんてもっと- - - 」と同じような子をもつお母さんから言われた。
  • 私が不在の場で親族が話し合い、子どもの発達遅延が私の子育てのせいだという結論に至ったようで、代表で兄弟から叱責を受けた。
  • 親戚からの『なんでこんなことになったの?』という詮索は、たまらなく鬱陶しかった。退院してから見に来てくれた時に『こんなに小さくて生きていけんの?』と『あなたの頑張りにかかってるのよ!』というプレッシャーは嫌すぎた。
  • 友達に障がいのことを打ち明けたら、「ごめん」って謝られた。言い方にも寄るかもしれないけれど、こっちから話をしているのに、障がいは聴いてはいけない「悪いこと」だと思っているように感じた。

その他 

  • あったかもしれないけれど記憶がない。療育施設入園前は、日々の生活が大変なのと県外から引っ越して、友人もいなかったのとで、過酷すぎて、いろんなことを全く覚えていない。
  • 悩みに悩んでその都度必要なケアを受け入れていったのに、そのせいで子どもの居場所が少なくなったり、足手まといに思われることが親としては申し訳ない。